自生植物を使った民具づくり。
沖縄に古くから伝わる、人間の知恵が生かされた民具。 種水土花は、その心を受け継ぎ、新しいデザインを施すことで、 私たち現代の生活に合う民具づくりを行っています。 自然のものを使ってつくる民具には、 工業製品にはない、美しさ、そして優しい佇まいがあります。 植物が持つ性質を生かし、暮らしの道具としての機能性も持ちながら、 種水土花の民具が、部屋にあることで、気持ちが楽しくなったり、 少しだけ、呼吸しやすくなったりする。 それこそが、現代における民具の役割だと思っています。
自然に生かされ、自然に還る。
沖縄の強い太陽の光を浴びた生命力あふれる植物。 押しては返す波に磨かれた貝殻の美しさ。 種水土花の民具は、それら自然がつくった造形美を使って、生まれています。 そして、こうして自然から生まれたものは、やがて、土に還る。 種水土花の民具も、そんな自然の営み、循環の中に、ありたいと思うのです。
手仕事の喜びが伝わるものを。
山に入り、採ってきた植物の葉を、太陽の光に当て、島の風にさらす。 島の湿度を肌で感じながら、時間をかけて乾燥させる。 そして、手で、足で、その素材に触れ、 対話をするように、流れを読んで、編んでいく。 人の手がつくるものには、人の手のあたたかさ、波動が伝わります。 その時の風、光、色、音、そして、編む手と、植物のコラボレーション。 同じものをつくろうと思っても、何ひとつ同じようにはできません。 ひとつひとつ、違うもの。その時々にしか生まれないもの。 それが、手仕事の尊さであり、ものづくりの喜びです。
是枝麻紗美
種水土花 主宰
1977年鹿児島県生まれ。東京で広告・ファッション誌を中心にスタイリストとして活動し、2011年、沖縄の宮古島の離島、伊良部島に移住。そこで初めてクバを使ってつくられた民具に触れ、独学で民具づくりを学ぶ。2016年、沖縄本島北部の離島、伊平屋島に移住し、自生植物を使った民具アトリエ「種水土花」を主宰。2019年、沖縄県工芸公募展にてデザイン賞を受賞。民具作家で初めての受賞となった。「種水土花」とは、種が水と土があることで花を咲かせ、それがまた種をつける。そんな自然の循環を思い描き、つけた言葉であり、また、同時に、人への心に蒔く種にもなれたら、との願いを込めている。